お屋敷のような祖母の家

私の母親の実家は農家で、とても大きなお屋敷でした。

幼い頃は、年に一度は母親が帰省していたため、遠くに住む祖母の家に行くのを楽しみにしていました。

お屋敷のようなその家は、築年数が50年以上とかなり古く、アパート暮らしだった私は、まるで映画の世界に連れて来られたような気分でした。

畳の部屋はとても広く、走り回れるほどで、いとこ全員が集まって追いかけごっこをしたりもできました。

そのお屋敷で、特に印象に残っていることが3つあります。

一つは、私が親・兄弟と寝る部屋に、たくさんの遺影が飾ってあったことです。

私の祖父、曾祖父母、そしてその上の世代の遺影がズラリと並んでいるのです。

一番古い遺影は、写真ではなく絵で描かれたものでした。

毎回その部屋に寝るたびに、先祖が私をずーっと見ているような気がして、どこか怖く、そして、どこか見守られているような不思議な感覚があったのを覚えています。

二つ目は、タヌキやキツネが遊びに来ることです。

夜になると、裏口をコンコンとノックするような音が聞こえるのです。

祖母とドアを開けてみると、タヌキやキツネが餌を求めてやってきていました。

私にとってはいい思い出で、夏休みの日記の恰好のネタとなりました。

そして、最後は、怖いトイレです。

今と違って水洗トイレではないですし、もちろん和式です。

そして、トイレに入ると、必ずと言っていいほどネズミが走り回っていました。

怖くて怖くてビクビクしながら毎回用をたしていました。

夜中にトイレに起きた時は、かならず親に付き添ってもらったものです。

今では、祖母も亡くなり、そのお屋敷も建て替えられました。

都市部に住んでいる私は、世の中が便利になって、快適な生活ができることに感謝しつつも、時々、昔の祖母の家のことを思い出します。

あの体験はもうできないのだな〜と思うと、少し寂しい気持ちもしますが、世の中は常に変わっていくものなんだということを改めて感じています。